月刊ココペリメールマガジン2015/11月号
こんにちは、株式会社ココペリインキュベートの安村です。
ココペリメールマガジンの第20回目をお届けいたします。
このメールマガジンではバックオフィス業務にまつわるお話を
毎月お届けさせていただきます。
今日は社会保険労務士試験の合格発表日でした。
私ごとですが、何とか私も合格することができまして嬉しい限りです。
以前に、ある公認会計士の先生に頂いたお言葉ですが、
「資格の取得はゴールじゃなくてスタートだからね」
ということを肝に銘じて今後も精進したいと思います。
さて、今回は従業員の方の年次有給休暇についてです。
まずは有給休暇の付与の話からさせていただきますと、法定通りの場合、
従業員の方が働きはじめてから6カ月が経過し
その6カ月間に全労働日の8割以上出勤した場合には10日間の
有給休暇を付与することになります。
(有給休暇を法定の基準よりも
早く・多く与えて頂けるようでしたらそれはそれで構いません。)
その後も1年ごとに11日、12日、14日、16日、18日、20日と
従業員に付与される有給休暇の日数は増えていきますが
20日を超える付与日数になることはありません。
法定通りであれば20日で打ち止めです。
パート・アルバイトの従業員にも、週の所定労働日数の割合に応じて
有給休暇を与えることになります。
年次有給休暇の比例付与、とか呼ばれるものですね。
有給の付与のしかたで迷う方が多いケースとして、
例えば入社から5か月間はアルバイトとして週3日勤務だった方が
6か月目からは正社員としてフルタイムで勤務したような場合があります。
この場合には、6カ月終了時点での雇用契約に基づいて
有給を付与することになりますので、
初めから正社員だった場合と同じ日数の有給を付与することになります。
また、入社当初に試用期間を設けた場合に、
有給が付与される条件の6カ月をどこから数えはじめるかという点も
迷われる方が多いようです。迷われるというより、
「正式採用後から6カ月数えたい」と強いご希望をもって考える
経営者の方が多いように思いますが、
これは試用期間の初めから6カ月数えることになっていますので
ぜひご理解いただければと思います。
同じようなお話で、
例えば3カ月の有期雇用を何度も更新しているような場合にも
6カ月連続勤務した時点で有給休暇が付与されますので
併せてご注意ください。
また、有給休暇を巡ってトラブルになりやすいのが
退職前にまとめて有給を消化するようなケースです。
退職前の有給の消化は、たとえ円満に退職する場合であっても
経営者の方にとっては心に思うものがあることも多いようです。
ましてや円満でない退職の場合には
お互いに感情的になりやすいこともあり
トラブルが起こりやすいようですね。
通常の場合、従業員の有給休暇の取得の申請に対して
事業主には時季変更権があります。
時季変更権は、従業員の有給取得が「事業の正常な運営を妨げる」場合に限って
有給取得の日程をずらすことができる権利です。
ないと困るこの権利ですが、退職寸前の有給休暇の取得の場合で
カレンダーがすべて有給で埋まってしまったようなケースには
休暇をずらす日もありませんので時季変更権が使えなくなります。
業務の引き継ぎ等で、
どうしても退職予定の社員に出勤してもらわないと困るような場合には
有給休暇を買い取るしかないこともあるようですね。
また、実際にあったご相談として、
出勤日が月・水・金と決まっていたアルバイトの方が退職に際して
火曜日や木曜日を指定して有給休暇の申請をしてきた…というものが
以前にありました。
月・水・金だけでは全ての有給休暇を消化しきれなかったため
そのような申請をしていただいたようでしたが、
この場合には火曜日や木曜日は初めから労働日ではないため、
休暇とは呼べませんので有給休暇の取得に応じる必要はないようです。
年次有給休暇を取得する権利は付与から2年で消滅します。
従業員の方にも権利が消滅しない範囲である程度は有給を使っていただき
英気を養ってもらった方が、
退職時にまとめて消化となるよりは健全なのかな、
といった感じがありますね。