損益ゼロを突破するために知っておきたい「損益分岐点」〜施術者・サロンオーナーのための安心経営指標〜

サロン運営や施術者として安定した経営を目指すなら、売上だけでなく“いくら稼げば赤字にならないか”という視点も不可欠です。本稿では、その鍵となる「損益分岐点(Break Even Point)」という指標について、売上・費用・利益の関係性から固定費・変動費の意味、そしてサロン経営に応用するための具体的な計算式までを丁寧に解説します。

例えば、家賃・人件費といった固定費、材料費・外注費などの変動費を正確に把握することで、「最低この売上/施術数を達成すれば赤字にならない」という目安が見えてきます。施術者ひとりサロンでも、複数スタッフ体制でも活用できるこの分析は、価格設定、集客計画、ひいては安心して働き続けられる仕組みづくりに直結します。経営に“安心の枠”を組み込みたい方、ぜひ本稿をご参照ください。
(※本稿の計算式や考え方は一般的な管理会計の枠組みによるものです)

Q1. 損益分岐点とは何ですか?

A. 売上と費用がちょうど同じになり、利益も損失もゼロになる売上や数量のことです。

Q2. 損益分岐点を計算する意味は?

A. 「どのくらい売れば赤字にならないか」を把握することで、経営計画や価格設定の判断に役立ちます。

Q3. 損益分岐点を計算する基本式は?

A. 損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)

  • 固定費:家賃や人件費など売上に関係なくかかる費用
  • 変動費:売上に応じて増減する費用

Q4. 損益分岐点数量はどう求めますか?

A. 損益分岐点数量 = 固定費 ÷(1個あたりの販売価格 − 1個あたりの変動費)

1個あたりの利益を計算して、赤字にならない販売数を割り出します。

Q5. 損益分岐点を下げる方法はありますか?

A. 方法は主に2つです。

  1. 固定費を減らす(家賃削減、人件費最適化など)
  2. 変動費を減らす(仕入れコスト削減、材料費見直しなど)

Q6. 損益分岐点を上げる要因は?

A. 固定費や変動費が増えると損益分岐点は上がります。

例):高額な設備投資や原材料費の増加など。

Q7. 損益分岐点は利益計画にどう活かせますか?

A. 目標利益を加味して、必要売上を計算できます。

必要売上高 = (固定費 + 目標利益) ÷(1 − 変動費率)

Q8. 損益分岐点分析のメリットは?

  • 赤字になるリスクを事前に把握できる
  • 価格設定や販売計画の根拠になる
  • コスト削減や利益改善の優先順位を決めやすい

Q9. どのくらいの頻度で見直すべきですか?

A. 毎月または四半期ごとに見直すとよいです。仕入れコストや固定費が変われば、損益分岐点も変動するためです。

Q10. 初めて損益分岐点を計算する場合のコツは?

  • 固定費と変動費を正確に洗い出す
  • 販売価格を現実的に設定する
  • 計算後は現実の売上と照らして検証する
  • 小さく試算して改善を繰り返す

編集後記

施術者・サロン経営者の皆さまにとって、技術や集客だけでなく「経営数値に強くなる」ことが長期的な安心に繋がります。今回ご紹介した損益分岐点の分析は、難しい財務用語に感じるかもしれませんが、実は「赤字にならないための最低ラインを知る」という極めてシンプルな思考です。

まずは自店の固定費・変動費の数値を洗い出し、実施件数や単価を当てはめて“自分たちの損益分岐点”を把握してみましょう。その“数値化”によって、次の一手(値上げ・コスト見直し・サービス強化)がより明確になります。安心して歩みを進めるための小さな一歩にしていただけたら幸いです。