確定申告のはじめてさんの「間違えやすいQ&A」10選

確定申告をはじめて行う方にとって、税金のルールは迷いやすい“落とし穴”がたくさんあります。たとえば「開業届を出していなければ申告不要?」と考えたり、「売上を現金で受け取ったらバレない?」と思ったりすることもあるでしょう。しかし、税務署は様々な情報から所得を把握でき、誤った判断は後々のトラブルにつながる可能性があります。本記事では、初心者が陥りやすい“間違えやすい注意ポイント”をQ&A形式で10問ご紹介し、具体的な対策や正しい考え方をわかりやすく解説します。初めての確定申告にも、これひとつで自信をもって臨めるように。

Q1. 「開業届」を出していないけど、売り上げがあっても申告しなくていい?

A. ダメです。開業届を出していなくても「事業として継続的に収入がある」なら申告義務があります。未申告は延滞税・加算税の対象になるので注意しましょう。

Q2. 現金で受け取った売上は申告しなくてもバレない?

A. バレます。銀行入金や仕入れ履歴、カード決済記録などから税務署は容易に把握できます。「申告しない=脱税」になります。

Q3. 領収書がない支出は経費にできない?

A. 原則は必要ですが、「支払日・金額・内容・相手先」をメモしておけば証拠として認められることもあります。

ただし、領収書がある方が信頼性は圧倒的に高いです。

Q4. クレジットカードの支払いは「引き落とし日」に経費計上?

A. いいえ。経費になるのは「利用日」です。12月に利用し、翌年1月に引き落とされた場合でも12月分の経費です。

Q5. 家賃を現金で払っていて領収書をもらっていないけど大丈夫?

A. 大丈夫ではありません。

少なくとも大家さんに支払い証明(受領印・振込記録など)をもらいましょう。証拠がないと経費否認のリスクがあります。

Q6. 売上が100万円しかないから申告しなくてもいい?

A. いいえ。所得が38万円(基礎控除)を超えれば申告義務ありです。また、住民税・国保の算定にも影響します。

Q7. 青色申告と白色申告、どっちでも同じでしょ?

A. 全然違います。青色申告は最大65万円の特別控除+赤字繰越が可能。白色のままにしておくと税金を多く払うことになります。

Q8. 仕事で使うスマホ・光熱費は全部経費にしていい?

A. ダメです。事業とプライベートを按分(あんぶん)して事業割合分のみ経費にします。

例:仕事6割、私用4割 → 60%のみ経費。

Q9. 税理士に頼むと経費が増えるだけじゃない?

A. むしろ節税+リスク回避で得をするケースが多いです。申告ミスでの追徴リスクを考えると、コストパフォーマンスは高いです。

Q10. 申告後にミスに気づいたらもう直せない?

A. 修正申告(または更正の請求)でやり直せます。過少申告の場合は早めに自主修正すれば加算税を軽減できます。

Q11. レシートが薄くなって読めなくなったけど大丈夫?

A. そのままではNGです。

感熱紙レシートは時間が経つと消えるので、コピーを取るかスマホ撮影して保存しましょう。電子帳簿保存法に対応するためにも、データ管理が安心です。

Q12. 個人の銀行口座を仕事にも使っているけど問題ない?

A. 税務上は問題ありませんが、事業用と私用の区分を明確にする必要があります。できれば専用の事業口座を作っておくのがベストです。

Q13. 家族に支払う手伝いの「お手当」も経費にできる?

A. 条件付きで可能です。

青色申告者なら「青色事業専従者給与」として適正額を届出・支給・帳簿記録すれば経費計上OK。ただし、白色申告者は上限があり制限されます。

Q14. 領収書をまとめて一気に処理してもいい?

A. できません。

経費は支払日ごとに記帳が原則。後からまとめると日付や内容の整合性が取れず、税務調査で指摘される原因になります。

Q15. 振込手数料は経費になる?

A. もちろん経費です。

「支払手数料」または「雑費」で処理します。特にロイヤリティ送金や商材仕入れの振込時は忘れずに計上しましょう。

Q16. ネットバンクの取引明細を印刷しなくてもいい?

A. 原則はデータ保存でOKです。

ただし、確定申告書提出時に提示を求められる場合もあるので、CSVやPDF形式で定期的にダウンロードしておくのが安心です。

Q17. キャッシュレス決済(PayPay・楽天ペイなど)の売上は申告不要?

A. 必要です。

現金と同じ「売上」として計上します。取引履歴は銀行明細と同様に保存しておきましょう。

Q18. SNS広告・ホームページ制作費は経費になる?

A. はい。

集客・宣伝に関する費用は「広告宣伝費」として経費になります。ただし、プライベート用途を含む場合は按分処理が必要です。

Q19. 健康保険料や年金保険料も経費にできる?

A. 経費ではなく所得控除です。

確定申告書の「社会保険料控除」欄に記入することで税金を軽減できます。経費とは別枠です。

Q20. 銀行からの借入返済は経費?

A. 返済の「元金部分」は経費になりません。

経費になるのは支払利息のみです。この区別を間違える人が非常に多いポイントです。

まとめ

確定申告は、はじめの一歩こそ難しく感じますが、仕組みを理解すれば決して怖いものではありません。むしろ、自分の働き方や収支を見つめ直す良い機会になります。申告の流れやルールを知っておくことで、余計な税負担を防ぎ、正しく節税につなげることも可能です。

今回のQ&Aを通じて「なんとなく不安だったこと」が少しでも明確になれば幸いです。大切なのは、わからないままにしないこと。毎年の確定申告を“面倒な義務”ではなく“自分を守る手続き”として前向きに取り組んでいきましょう。