借入返済・資金繰りまわりの注意したいQ&A(全10問)

借入金の返済や資金繰りは、事業運営において誰もが頭を悩ませるテーマです。しかし、税務上の取り扱いには「思い込み」や「常識」と異なるルールが多く隠れています。たとえば、借入金の返済額を丸ごと経費にしてよいと思っていたら、それは誤解。実際には、返済の 元金部分 は経費扱いできず、経費となるのは借入にかかる 利息 や、借入に関連する手数料・印紙などが対象となります。本記事では、借入返済・資金繰りの場面で間違いやすいポイントをQ&A形式で10問にわたって解説し、実務における注意点や正しい判断の基準を丁寧にまとめました。事業主・個人事業主の方は、ぜひご一読ください。

Q1. 借入金の返済は経費になるの?

A. 返済の元金部分は経費になりません

経費になるのは「利息部分」だけです。返済は“お金の移動”であって“支出の発生”ではないためです。

Q2. カードローンの返済も経費?

A. 利息部分のみ経費。

生活費やプライベート支出の返済分は当然NG。事業用に使ったと証明できる場合のみ経費対象です。

Q3. 事業のために借りたお金を一括返済した。全部経費で落とせるの?

A. できません。

あくまで利息部分のみが経費。一括返済でも元金部分は経費計上できません。

Q4. 銀行からの借入利息は「支払利息」?「雑費」?

A. 正しくは「支払利息」科目です。ただし、少額であれば「雑費」にまとめても問題ありません(税務上は大差なし)。

Q5. 親族や友人から借りたお金の利息も経費?

A. 契約書があり、実際に支払っているなら経費にできます。口約束や形だけの支払いは否認リスクあり。利息の支払い記録と契約書を残すことが重要です。

Q6. リース代や割賦払い(分割購入)は借入と同じ?

A. 似ていますが扱いが違います。

リース代は経費(サービス料)ですが、割賦払いは資産購入+支払義務なので、経費にできるのは減価償却分のみです。

Q7. クレジットカードのリボ払いや分割手数料は経費?

A. はい、手数料部分(利息)は経費になります。

ただし、元金は経費ではありません。カード明細で「利息」「手数料」を明確に分けておきましょう。

Q8. 借入金で買った備品の金額は経費?

A. 購入した時点で資産計上し、減価償却で経費化します。借入金の使い道が「事業用」であることが前提です。

Q9. 補助金や助成金を返還した場合、それは経費になるの?

A. はい。返還時点で「雑損失」または「返還金」として経費計上できます。ただし、もともと課税対象でなかった補助金は経費化できない場合もあるので注意。

Q10. 借入返済のために支払った保証料や印紙代は?

A. 経費になります。

借入手続きにかかった費用(印紙・保証料・事務手数料など)は借入関連費用として計上可能です。

初心者が混同しやすい3つの区分

項目経費になる?科目例
借入金の元金返済
借入金の利息⭕️支払利息
借入関連の手数料・印紙代⭕️支払手数料/租税公課

資金繰りや借入金の管理は、日々の経営を安定させるための重要なポイントです。正しい知識を持たずに感覚で処理してしまうと、経費計上の誤りや税務調査での指摘につながることもあります。しかし、仕組みを理解していれば、借入金は「負担」ではなく「経営を前に進めるための力」に変わります。今回のQ&Aで紹介した内容を参考に、数字の流れを整理し、ムリやムダのない資金管理を心がけましょう。正しく知って正しく使うことが、健全な経営への第一歩です。