自宅も職場として使う場合の経費計上Q&A(10問)

自宅を仕事場として使う場合、家賃や光熱費、通信費などを「事業経費にできるかどうか」が気になる方は多いでしょう。しかし、すべてを丸ごと経費扱いできるわけではありません。たとえば、部屋の全体面積の何割を業務用スペースとして使っているか、使用時間はどの程度かなどを基に「按分(あんぶん)」して計算する必要があります。本記事では、そうした“間違えやすい”ポイントをQ&A形式で10問にまとめ、実務上の注意点や具体的な按分方法、適用可否の基準をわかりやすく解説します。自宅兼事務所の活用を検討中の方必見です。

Q1. 自宅を職場として使う場合、家賃は全額経費になるの?

A. いいえ。

仕事に使っている割合(按分割合(あんぶん))のみ経費にできます。例えば、面積の30%をサロンとして使っているなら、家賃の30%が経費です。

Q2. 按分(あんぶん)ってどうやって決めるの?

A. 一般的には「仕事スペースの面積 ÷ 自宅全体の面積」で算出します。
ただし、使用時間も考慮して「実際に仕事に使っている割合」で計算すればOKです。

Q3. 按分割合は毎年同じでいいの?

A. 原則として大きな変更がなければ同じで構いません。
ただし、部屋の使い方が変わった場合(店舗拡張・部屋移動など)は再計算しましょう。

Q4. 水道光熱費はどうやって経費にする?

A. 家賃と同様に按分します。

例:全体の30%を事業利用しているなら、電気・ガス・水道も30%を経費計上。ただし、光熱費は「使用時間」で按分してもOKです。

Q5. インターネット料金や携帯代は?

A. これも按分します。

「業務利用が多い」場合でも全額経費はNG。たとえば半分仕事・半分私用なら、50%を経費にします。

Q6. 固定資産税や火災保険料も経費になるの?

A. 按分して経費計上できます。

持ち家の場合は事業使用割合分を「地代家賃」や「租税公課」として計上します。ただし、ローン返済の元金部分は経費になりません。

Q7. 自宅を仕事で使うためにリフォームしたら?

A. 使い方によって異なります。

  • 店舗用に専用改装した場合 → 固定資産として減価償却
  • 一時的な補修・修理 → 修繕費(経費)

Q8. 家族が掃除や受付を手伝った分も経費になるの?

A. はい、可能です。

ただし、支払い・勤務実態・金額が妥当であることが条件。青色申告者なら「青色事業専従者給与」として処理します。

Q9. 自宅で施術をしているけど、来客用スペースはどう扱う?

A. 来客専用スペースであれば、その部分も事業用として按分に含めてOK。ただし、プライベート利用が混ざる場合はその分を除外します。

Q10. 家賃を家族名義で払っている場合は?

A. 家族名義の賃貸でも、実際にあなたが事業用として使用していれば按分経費にできます。ただし、賃貸契約書や支払いがあなた名義でないと、証拠として弱くなるため注意。

按分経費にできる主な項目

項目按分OK按分基準の例
家賃⭕️面積比または使用時間比
電気・ガス・水道⭕️面積+使用時間
通信費⭕️使用目的(業務/私用)
固定資産税・保険料⭕️面積比
ローン返済元金は経費不可(利息のみ可)

まとめ

自宅を事務所として使う場合、経費の取り扱いは「どこまでが業務か」を正しく線引きすることが大切です。曖昧なまま申告すると、思わぬ税務指摘や修正申告につながることもあります。逆に、ルールを理解しておけば、無理なく正当に経費を活用でき、手取りを増やすことも可能です。

今回のQ&Aを参考に、自身の働き方や使用状況を見直してみましょう。経費計上は“知っているかどうか”で差が出る分野です。正しい知識を身につけ、賢く節税・経営に役立ててください。