施術者が知っておくべき「人格権」の基礎知識 — ICHAが解説する安心のためのQ&A

施術現場において、技術やサービスだけでなく“人として尊重される権利”、つまり「人格権」が注目を集めています。施術中の会話、SNS投稿、パンフレット掲載など、ささいな行動が名誉・プライバシー・肖像に関わるトラブルに発展する可能性があります。そこで、一般社団法人 ICHA(国際コ・メディカルアンドヘルスケア協会)が施術者の安心と信頼を守るために、よくある質問形式で「人格権とは何か」「SNS投稿での注意点」「顧客・従業員写真の使用」などを丁寧に解説。このガイドを読むことで、施術者としての法的リスクを理解し、日常業務を安心して遂行できる土台が整います。

Q1. 人格権とは何ですか?

A. 人格権とは、人が「人として尊重される権利」です。生命・身体・名誉・プライバシー・肖像など、個人の人格的な価値を守る権利を指します。

Q2. 名誉毀損とはどのような行為ですか?

A. 他人の社会的評価を下げるような発言や投稿、噂の流布などを行うことです。たとえ事実であっても、公の場で発言すると名誉毀損になる場合があります。

Q3. プライバシー侵害になるのはどんなケースですか?

A. 本人の承諾なく、私生活上の情報(住所・家族構成・病歴・写真など)を公開または共有する行為が該当します。

Q4. SNSで他人の写真を投稿しても大丈夫?

A. 本人の同意がなければ、肖像権の侵害となるおそれがあります。特に商用利用や宣伝目的の場合は、必ず同意が必要です。

Q5. 職場の会話やLINEグループで悪口を言うのは問題?

A. 限定された場であっても、他人の人格を否定する発言は名誉毀損やハラスメントに該当する可能性があります。

Q6. 施術中にお客様の体の特徴をSNSで話題にするのは?

A. 明確にプライバシーの侵害です。たとえ名前を出さなくても、特定されるおそれがある内容は厳禁です。

Q7. 口コミへの返信でお客様の情報を公開してしまったら?

A. 顧客情報の漏洩およびプライバシー侵害になります。返信では個人情報や施術内容を特定できる記述を避けましょう。

Q8. 従業員や生徒の写真をパンフレットに使うには?

A. 写真を使用する前に、書面またはデジタル同意を得る必要があります。無断使用は肖像権・パブリシティ権の侵害です。

Q9. 名誉を傷つける投稿をされた場合、どう対応すべき?

A. 感情的に反応せず、スクリーンショットなどで証拠を保存し、管理者や法的機関(弁護士など)に相談するのが適切です。

Q10. 人格権侵害を防ぐためにできることは?

A. 「相手がどう感じるか」を基準に言動を考えること。SNSや発言前に一呼吸置く、情報発信前に第三者の視点で確認するなどが大切です。

編集後記

今回のQAでは、施術者として日常的に起こりうる「人格権」のトラブルを具体的に取り上げました。技術面だけでなく、言動・発信・写真使用といった「コミュニケーション面」の配慮が、信頼構築にもつながります。施術の安心・安全を守るためには、法的な視点を持つことが不可欠です。ICHAとしても、会員の皆さまが安心して活動できる環境づくりをさらに強化して参ります。今後もこうしたテーマを深掘りし、皆さまの現場に役立つ情報を発信していきたいと思います。