月刊ココペリメールマガジン2015/9月号

こんにちは、株式会社ココペリインキュベートの安村です。
ココペリメールマガジンの第18回目をお届けいたします。
この記事ではバックオフィス業務にまつわるお話を毎月お届けさせていただきます。

10月からマイナンバーの通知が始まりますが、それにあわせて法人には法人番号が通知されます。
法人番号は転送不可の郵便で登記上の本店所在地に届きますのでもし、会社の引っ越しのあと移転登記をされていないようでしたら急いで移転登記をしていただいた方がよいかと思います。

ちなみに、個人あてのマイナンバーの通知カードも住民票の住所に転送不可郵便で送付されますので
手続きを怠っている社員がいないか、今一度確認していただいた方がよさそうです。

さて、今回は帳簿上の数字が悪くなってしまった場合…
例えば債務超過やそれに近い状態となってしまった帳簿上の数字を復活させる方法、DES(Debt Equity Swap)についてです。

まず、債務超過とは何か?ということからですが、企業の持つ資産の総額よりも、負債の総額が上回っている状態を債務超過と呼びます。

預金や売掛金や不動産といった資産の総額よりも買掛金や借入金といった負債の総額が多いということですが、この状態になってしまうと、仮に会社を清算して資産をすべて売り払ったときに負債を全て返すことができなくなります。

例えば、資本金500万円で設立した会社が400万円の累積赤字を出した場合、その時点で会社を清算し資産をすべて売却し負債を全て返したとして、理屈上は100万円が手元に残ります。

ですが、同じ資本金500万円の会社が700万円の累積赤字を出した場合には、会社を清算しても200万円の負債が残ることになります。

このように会社を清算しても負債が残る状態を債務超過と呼びますが債務超過の状態の会社には、銀行はまず融資をしないと言われています。

債務超過を解消するには黒字を出せばいいのですが、その黒字を出すために資金が必要で、だから銀行から融資を受けたい、といったままならない状況も往々にしてあります。

ここでDESの出番となるのですが、まず前提として中小・ベンチャー企業の場合、会社で出した赤字による資金の不足分を社長が個人で出しているケースが非常に多いです。

(社長からの)借入金が膨らんでいる場合に、この借入金を資本金に振り替えようというのがDES(Debt Equity Swap)になります。Debt(債務)とEquity(株式)のSwap(交換)ですからそのままですね。

(一般的には、DESの手続にあたって資金の借入先が社長である必要はありません。しかし、借入金の資本金への振替を受け入れてくれる…となると社長か又はそれに近しい人でないと難しいように思います。)

通常の増資であれば、会社は現金を受け入れ、それと引き換えに会社から株式を発行することになります。
DESの場合には、会社は既に借入金として現金を受け入れていますので、その借入金と引き換えに株式を発行するイメージです。

先程の資本金500万円の会社の例で行きますと、700万円の累積赤字を出したため、200万円の債務超過となっていますが、社長からの借入が仮に500万円あった場合、これを資本金に振り替えれば、資本金1,000万円の会社が700万円の累積赤字を出したのと同じ状態になります。

この例であればまだ純資産が300万円残っている形になります。
もし銀行融資を考えている場合には、近年の決算書次第では十分に通る可能性はあるかと思います。

通常の増資と違い、DESの場合には資金は動かさないため株主総会や役会での決定のあとは、書類を作成して登記の手続をすればそれで増資手続き完了となります。

銀行融資をお考えの場合等、試算表の見栄えを良くする必要があるときには検討していただければと思います。